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完敗。1から出直し。〜PRIDE無差別級GP

PRIDE無差別級GP準々決勝をペイパー・ビュー観戦。
藤田和之、吉田秀彦の日本人両エースが揃ってKO負け。
完敗だった。

準決勝に駒を進めたのは、その藤田選手を打撃で沈めたヴァンダレイ・シウバ選手、同じく吉田選手をローキックで斬って捨てたミルコ・クロコップ選手、マーク・ハント選手に何もさせず完勝したジョシュ・バーネット選手、ファブリシオ・ベウドゥム選手との〝柔術マスター対決〟を打撃で辛うじて制したアントニオ・ホドリゴ・ノゲイラ選手の4名。勿論、この結果は悔しかった。けれど、不思議とショックは尾を引いていない。なぜなら、勝者と敗者の間には、悔しさでは埋められないほどの大きな差があった。それが私を感情に走らせず冷静にした。

スカパーの実況席に解説者として座った高阪剛氏がこんなようなことを言っていた。
「総合格闘技は打撃だけでも寝技だけでも駄目。打撃も、それを寝技の一部としてひとつのリズムの中で繰り出せなければあまり役には立たない」
言い回しは異なるが、おおよそ、そんな意味だと私は理解した。
つまり、総合格闘技で勝つためには、立ち技、寝技という異なる技術を、相互に補完し合う新たな技術に再構成して身に付け直さなければならない。たとえ両方をマスターしても、ばらばらにしか使えない技術であればフィニッシュには繋げられない、ということだ。

まさに、今回の勝者はこの言葉通りの技術を高いレベルで完成させている選手達だった。そして、シウバ選手、ミルコ選手を一度は掴まえながらフィニッシュまで持ち込めず、最終的に打撃戦でKOされた藤田選手と吉田選手はその逆。彼らは立ち技のスペシャリストに打撃で敗れたのではなく、総合格闘技の技術を含む戦術において劣っていたから敗れた。さらに、藤田選手はフィジカル面で、吉田選手は寝技においてあきらかに過信があった。それも敗因だったように思う。
もう、PRIDEのリングにおいては突出した武器を1つ持っているだけでは勝てない。PRIDE随一のハードパンチとフィジカルというずば抜けた武器を2つも有しているハント選手でさえ、〝総合の申し子〟バーネット選手の洗練されたトータルテクニックの前では為す術もなかった。

藤田選手、吉田選手には、この現実を直視してもらいたい。そしてその上で、もう一度、1から出直してほしい。2人は最後まで諦めない気迫と、世界に通用する武器をすでに持っている。コンプリートファイターを目指す時間は、まだある。
Commented by K.U. at 2006-07-02 07:17 x
木村さん、おはようございます!
私は5月の開幕戦を観て、正直「日本人選手はファイナルまでは残れないだろう…」と思っていたので、特に藤田選手のファイトには「善戦」と感じ、熱狂的に応援&感動した次第です。吉田選手は予想以上に「完敗」でしたが…。
しかし海外の選手、その中でもホドリコ=ノゲイラとヴァンダレイのファイトは本当に圧巻でした。他の選手より二歩も三歩も上を行っているというか…確実な強さだけでなく魅せて勝つ。本当に感動しました。
Commented by K.U. at 2006-07-02 07:44 x
あと大変に個人的な感想で恐縮なのですが、会場で購入した大会パンフレットにある各戦及び選手紹介。
藤田戦の見所解説は、いつもながら金澤氏が書かれていました。が、いつもながら氏の藤田選手に関する記事は“書きすぎ”です。選手とお友達だから…かもしれないけれど。特に藤田選手がフリーになってからは、目立ち過ぎです。少なくとも私は、いつもいつも興醒めしています。
私は木村さんの御著作を拝見し、より藤田選手のファンになったので、余計にそう感じるのかもしれません…。
特に総合格闘技の舞台で戦う選手の事は、もっと「リング上」を起点としてレポートしてもらいたい…と思いました。“書きすぎ”は残念ながら(少なくとも私には)試合前の興醒めに繋がりました。
Commented by coppen at 2006-07-02 15:49 x
こんにちは。
日本人最後の砦の藤田選手、吉田選手が勝てなかったのは残念でした。「たら・れば」というのは勝負の世界にはないのは分かってはいるんですが、テレビ撤退問題が何故よりによってこの時期に起こってしまったんだろうという重いが強いです。特にアメリカ合宿を行っていた藤田選手は練習スケジュールに影響が出てしまったことは否めないと思います。
木村さんに対してあえて反論なんですが全ての選手がトータルファイターを目指す必要はないと思います。やはり各選手で得意・不得意は当然あると思います。藤田選手に関して言えばハードパンチャーとしては既に定評がありますが、僕はパンチが向いているとは思えない部分があります(GP1回戦でのパンチで打ち倒す試合やヒョードル戦を見てもなお・・・)。いっそのことパンチを捨ててグローブを取り去った闘いをする選手が総合のリングにいてもいいのではないでしょうか?藤田選手なら究極のレスリング、吉田選手なら究極の柔道、そんな闘いを総合のリングで見てみたいです。(素人の意見ですいません)
Commented by leicacontax at 2006-07-03 04:26
K.U.さん、おはようございます。
>私は5月の開幕戦を観て、正直「日本人選手はファイナルまでは残れないだろう…」と思っていたので、特に藤田選手のファイトには「善戦」と感じ、熱狂的に応援&感動した次第です。

冷静に見て、なおかつ熱くなれるK.U.さんの見方は素敵です(笑い)。
真実は自分の心で感じ取るもの。クールとホット。そのどちらか一方に偏っても真実を感じ取ることはできません。これからも対象をクールに見つめ、熱く心で感じる姿勢を貫いてください。バランスが大事。私ももう一度肝に銘じたいと思います。
Commented by leicacontax at 2006-07-03 07:56
coppenさん、おはようございます。
ご意見について、私なりの考察を記事としてまとめてみましたので読んでみてください。
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by leicacontax | 2006-07-02 00:16 | プロレス/格闘技/ボクシング | Comments(5)

現実は精巧に造られた夢である。〈長谷川りん二郎の言葉〉


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