人気ブログランキング | 話題のタグを見る

高阪剛に泣き、藤田和之に絶叫!〈PRIDE無差別級GP2006開幕戦〉

「PRIDE無差別級GP2006開幕戦」。
藤田和之選手の再出発となる今大会。とても録画中継など待てず、スカパーでペイパービュー観戦。第3試合「高阪剛vs.マーク・ハント」に泣き、第4試合「ジョシュ・バーネットvs.エメリヤーエンコ・アレキサンダー」で興奮。そして、第5試合「藤田和之vs.ジェームス・トンプソン」で絶叫した。

高阪選手の闘い。涙が止まらなかった。ハントの強打を受けて足下さえおぼつかなくなり、それでも前進し、前のめりに倒れながらハントにしがみつくその姿には、嗚咽が込み上げて、途中からは声援すら送れなくなった。〝命を懸けた闘い〟〝魂の闘い〟などという言葉は格闘技では使い古された常套句。しかし、高阪選手の闘いからは、嘘偽りなく、命懸けの人間の覚悟が伝わってきた。打たれても打たれても迫ってくる高阪選手の爛々と光る目。それが単なる勝ち目のない玉砕戦法でないことをグラウンドの攻防で悟らされたハントの眼差しは、一瞬、あきらかに畏れおののき、そして最後には尊敬に変わっていた。
このトーナメントは事前に高阪選手が負けた時点での引退を宣言していたこともあり、観る側にセンチメンタルな先入観はたしかにあった。それでも、凝視している間に、〝目の前の闘い〟それ以外のものは何も見えなくなり、頭は空っぽになった。高阪選手の敗戦と引退は残念だ。が、高阪選手には申し訳ないが、試合を観終えたとき、私の胸中は、これから先二度と見られないかもしれない魂の闘いを目撃した喜びで満ち溢れていた。敗北と引退。過酷な現実に直面している高阪選手に対して言葉を贈ることなど意味がないかもしれない。それでも、一格闘技ファンとして、こう言うしかない。いや、言わせていただきたい。
素晴らしい闘い。本当にありがとうございました。

藤田vs.トンプソン。入場の際、トンプソンはいつもの〝キレ顔〟をしていたので、内心、これなら大丈夫と思った。だが、ゴングが鳴るや、トンプソンは予想を覆す冷静な動き。厭な予感がした。突っ込んで来てくれる相手なら、いかに体力差があっても藤田選手ならテイクダウンは難しくない。しかし、距離を置いたスタンド勝負を挑まれれば不利。打撃戦を制しない限り、タックルだけでテイクダウンを奪える選手は今のPRIDEにはいない。はたして、試合は厭な予感の通りになった。
正直、コーナーに追い詰められ、強烈な膝蹴りを何発も顔面に貰った時点で駄目かと諦めかけた。並みの選手なら多分、終わっていた。一縷の望みは、猛攻にさらされながらも光を失わない藤田選手の目。頭をよぎる無惨な敗北のイメージを懸命に打ち払いながら〝こうなったら殺るか殺られるか。もう打ち合うしか勝機はない〟思わずテレビに向かって叫んでいた。「行け! 逃げるな藤田!」。次の瞬間、まるでその声が届いたかのような藤田選手の死物狂いの逆襲。トンプソンの巨体が崩れ落ちる。鮮やかな逆転KO勝利には声も出なかった。まるで自分も闘っていたかのような激しい血のたぎり。気づけば、私は腑抜けになっていた。崖っぷち。薄氷の勝利だった。
久しぶりのPRIDEのリング。相手は上り調子のトンプソン。とにもかくにも、藤田選手は急成長の若手の勢いをはね返せたことでまずは第一関門を突破した。我慢に我慢の展開で肉体が被ったダメージは大きかったかもしれない。それでも、肉体はひび割れかけても、魂はリングから一歩も出ようとしなかった。逃げない藤田。私はそれが嬉しかった。

セカンドラウンドは誰と対戦しても苦戦は必至。勝敗の鍵を握るスタンディングの攻防レベルもさらに高度化する。それでも、今日の試合で藤田選手の気迫と肉体と勝負勘の健在は証明された。テクニックに関する課題は誰が指摘するまでもなく本人が身を以て知っただろう。頂点への道は険しい。壁は高い。が、だからこそ、完全燃焼だってできる。
さんざんハラハラさせられたものの、リミッターを外して思う存分闘う藤田和之の姿に、多くのファンは溜飲を下げたと思う。藤田は藤田の思うように、やりたいようにやればいい。脱猪木? それは違う。本当の猪木イズムとは巨大なエゴイズム。藤田和之が真に自由になるためには、もっとリングで強烈な自己主張をし続けなければならない。それこそが真の猪木イズムの継承。イコール、アントニオ猪木からの旅立ちなのだ。
Commented by ねこギター at 2006-05-06 00:39 x
亀田兄弟の試合の後、PRIDEを観ました。
亀田選手の会場には、猪木さんが観戦していましたね。先日TVで競演した繋がりでしょうか。亀田陣営のイケイケの熱気と満員の観客。猪木さんはどう感じたでしょうか・・・。
PRIDEはグレイドが高いんだぞという演出がいいですね。花道の実況は鬱陶しいですが。高阪選手の試合は、途中から正座して観ました。レフリーストップが入っても目が死んでいなかったですね。震えました。
藤田選手は、勝って本当によかったです。観客のスタンディング・オベイションも、みんな藤田に期待しているんだなというのを感じて嬉しかったです。
Commented by K.U. at 2006-05-06 01:16 x
木村さん、早々のブログ更新☆彡本当にありがとうございます!

私も亀田興毅・大毅選手の試合をテレビで観戦し☆彡2人の勝利に晴れ晴れとし&爽快感の中で…やっと「PRIDE GP」を見始めました。

正直に言うと、実は…桜庭選手の移籍が私の中で(あらゆる意味で)大変にショックな出来事でした。
PRIDE GPへの出場も強く願っていたファンの1人なので、サクが居なくなった寂しさが全く癒えていない状態の中で、テレビ観戦をする事さえも躊躇している自分がいました。

でもTKの魂の試合を観戦できて、本当にただただ幸せでした。
藤田選手の試合は、かなりハラハラしましたが、最後は良かったです。7月はちゃんと会場へ行き&応援したいと思います!

何も考えず&家族と共に熱狂できた亀田兄弟の試合とは違い、何とも言えない複雑な思いを抱え&最後の方は余り集中できずに観てしまった今回の「PRIDE GP」でした。
次回は心をスッキリして「PRIDE GP」も「HERO'S」も応援していきたいと思います!

Commented by leicacontax at 2006-05-06 02:14
ねこギターさん、K.U.さん、今夜は共に余韻に浸りましょう!
5月5日は亀田の日ぃや〜&高阪剛と藤田和之の日ぃや〜! しゃ〜っ! という気分です(いま、ビデオに録画してあった亀田兄弟の試合を観終えました)。
猪木さんは多分、不機嫌だったんじゃないかと思います。協栄ジムは先代の金平会長時代、猪木さんがアルバチャコフやナザロフを旧ソ連から一緒に発掘して育てた仲。ソ連の鉄のカーテンをこじ開けた猪木さんの仕掛けは世界的に話題にはなったものの、当時、低迷していた日本のボクシング人気の起爆剤には至りませんでした。それが、こんな形でブレイクしているのを目の当たりにしたわけですから、プライドの高いアントニオ猪木のこと。新日本の現状との比較も含め、内心、穏やかではなかったのではないでしょうか。

Commented by leicacontax at 2006-05-06 02:15
K.U.さん、格闘技界の裏側のどろどろごたごたは、もう、強い意志をもって見るのをやめましょう。臭いものにはフタをではなく、それが、命懸けを身を以て示してくれた高阪選手のようなファイターに対する礼儀。私もいろいろ知りすぎたばかりに現場へ足が向かなくなった1人ですが、これを契機に、興行の世界とリングをきっぱりと区別するべきかと思いました。考えてみれば、プロボクシングもその意味では決してクリーンとはいえません。それでも、そんなこととは無関係に、つねにファイトは清々しく透明です。要は、リングが放つ気高さの問題。選手達がその聖域を守り続けている間(表が裏に浸食されない限り)は、応援に躊躇はいらないでしょう。好きなものは好き! いいものはいい!  それでいいじゃないですか!
Commented by coppen at 2006-05-06 07:55 x
おはようございます。
プライドは凄い試合を見せてくれましたね。藤田選手相変わらずの打たれ強さ!是非GP優勝を狙って欲しいですね。
HERO’S出場が決まった桜庭選手ですがこれからもプライドにも出場していきたいとコメントしていますね。このような選手の柔軟な姿勢で格闘技界の現状に風穴を空けて欲しいです。桜庭選手や藤田選手はそんな器を持っていると思います。
亀田兄弟の試合ですがあれは生中継なんですかね?だとしたら完全にTV局に振り回されてますよね。格闘技の地上波生中継は色んな意味で問題ありますね・・・。
Commented by leicacontax at 2006-05-06 08:37
おはようございます、coppenさん。
凄い試合。ほんとにその一言に尽きます。そして、その一言に尽きる闘いこそ、自分が求めて止まないものなのだとあらためて思いました。
こんな凄い試合も、選手が試合に集中できる環境があってはじめて実現できることです。coppenさんのおっしゃる通り、桜庭選手や藤田選手の勇気ある行動が、格闘技界に風穴を空けてくれることを私も祈ります。

TBSの番組構成には、ホント、開いた口が塞がりませんね。あれでは贔屓の引き倒し。生中継に期待していたボクシングファンの反感を買うだけ。当日、亀田兄弟の試合だけがあったわけではないでしょう。芸能人のトークを垂れ流している時間があるなら、他の試合も流すべき。ボクシングの生中継はその緊張感にこそ価値があるのですからね。
Commented by K.U. at 2006-05-06 21:39 x
木村さん、いつも本当にありがとうございます!

木村さんがおっしゃる通り(^O^)/私も改めて「リング上」だけに集中する事にしました!様々な「リング外」の出来事は、私のような1ファンには関係ない事ですし。これからも応援☆彡ガンバります!

ところで…昨日の「PRIDE GP」での藤田選手の入場曲が☆彡ジミ=ヘンドリックスの『パープル ヘイズ?』だったようですが、もしも御存知で&宜しければ…この楽曲の背景等を是非とも教えて頂けないでしょうか?
全く知らない曲だったのでm(__)m曲をダウンロードするだけで精一杯になってしまいました(汗)。とても力強いナンバーで☆彡少し興味も覚えました。

Commented by leicacontax at 2006-05-07 13:15
こんにちは、K.U.さん。
さて、ジミ・ヘンドリックスについての質問ですが、残念ながら私もいままで通り一遍にしか聴いたことがありません。
そういえば、pasinさんなら詳しいのでは?
pasinさん、よろしければご教授願いたいのですが。
よろしくお願いします。
Commented by pasin at 2006-05-07 20:32 x
出遅れました(汗
>パープルヘイズ
これはジミヘンの代表曲ですね。ドラッグでのトリップ状態を歌った曲だとか。
何故、藤田選手がこの曲を選んだのかは謎ですが、ジミヘンはロックギターに革命を起こした人物なので
PRIDEをぶっ壊して革命を起こすぞ、という意思表示だったのかもしれません。
まあ、単にギターリフがカッコ良いからかもしれませんが(^^;
Commented by pasin at 2006-05-07 20:44 x
で、肝心のPRIDEですが、個人的には今年見たベスト興行でした。
桜庭問題で求心力が落ちているんじゃ、と危惧しておりましたが、やっぱりヘビー級の
充実度は世界一なんじゃないかと思います。
藤田選手は本当に危なかったですね。
今回の逆転勝ちは嬉しいですが、このままでは2回戦は相当厳しいんじゃないかと思います。
逆にジョシュはかなりシェイプアップされてスピードが上がってましたね。
正直、1回戦の中ではジョシュ×アレキが一番レベルが高かったと思いましたが
きっちりアームロックで勝利するとこなんざ、まさにリアルプロレスラー。
この勢いで決勝戦まで残って欲しいと思います。
最後に高坂選手。月並みですが魂が震えました。こんなに凄い選手が日本に居た事を誇りに思います。
Commented by leicacontax at 2006-05-08 04:20
pasinさん、ありがとうございました!
ジミヘンもああいう風な状態で聴くとポップで開放的になるんですね。
私はどうしてもアンダーグラウンドなイメージで捉えていたもので(なんせドラッグ&トリップミュージックですものね)、ちょっと意表をつかれた感じでした。

バーネットについては書いているうちに力尽きてしまったのですが、pasinさんのおっしゃる通り、試合内容は一番よかったと思います。
プロレスラーはどう総合格闘技と闘えばいいのかというお手本のような試合でしたね。

>こんな凄い選手が日本に居た事を誇りに思います。
まさに、その通り! 日本人の誇り。高阪選手の闘いは、アイデンティティに訴える闘いでした。
Commented by K.U. at 2006-05-09 08:24 x
pasinさん・木村さん、本当にありがとうございました!!!大変に参考になり☆彡勉強させて頂きました。

『革命』ですね…。そういう意味が込められているかも…しれませんね。私もそう思いました!

会社でも『PRIDE GP』の話題でもちきりでした。やはり『世界のTK』のファイトは、皆が一様に心に残った&忘れられない試合となったようです。
名前
URL
削除用パスワード
by leicacontax | 2006-05-05 23:30 | プロレス/格闘技/ボクシング | Comments(12)

現実は精巧に造られた夢である。〈長谷川りん二郎の言葉〉


by leicacontax