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ガメラ 大怪獣空中決戦

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私の好きな東京タワーをもっとも見事に、そして美しく破壊した映画。
それが「ガメラ 大怪獣空中決戦」である。

私の映像原体験は紛れもなく「ゴジラ」であり「ウルトラQ」「ウルトラマン」で、子供の頃、テレビの特撮ヒーローものや怪獣映画や特撮映画は三度の飯より好きだった。
小学校低学年の頃、怪獣映画の人気は東宝「ゴジラ」と大映「ガメラ」に二分されていた。私の周りでは圧倒的にガメラ優勢。当時、ゴジラ映画の人気は衰退期に入っており、後発で製作が始まったばかりのガメラシリーズの方が子供たちには新鮮に受け止められていた。
なにより、カメの怪獣というのがポイントが高く(なぜか当時の子供はカメ好きで、私も縁日でミドリガメを買っては小さい水槽に入れて飼ったりした。意外に飼育が難しく、すぐに死なしては悲しい思いをした・・・)、「ギャオス」「バイラス」「ギロン」など、敵役の怪獣も形がわかりやすく、街角の映画の立て看板を何度か見ただけで誰でもすぐ絵に描けた(それに対しゴジラは、結構、絵に描くのは難しく、複雑なキングギドラは言うに及ばず、シンプルに見えるラドンでさえ、そっくりに描くのは至難のワザ。モスラの幼虫は誰にでも描けたのだが、もしかすると、モスラ人気の高さはそのあたりにも原因があったのかもしれない)。たしかに、最初からガメラ映画はゴジラ映画にはない子供へのやさしさ(親近感)があった。

後年、大人の眼で両者を比較してみて、映画としてのレベルの違いに愕然とした。映画産業の衰退と共に低予算化が加速し、往年の輝きを失い、どんどん子供騙しになっていったゴジラ映画ではあったが、初めから子供に受けることしか念頭になかったガメラ映画に比べれば、怪獣の着ぐるみやミニチュアの完成度や合成技術など、どこをとってもその出来栄えは遥かに上等だった。結局、ガメラの魅力は映画の完成度ではなく、怪獣たちのキャラクターそのもの。初期のガメラ映画は子供の想像力を刺激する動く紙芝居でしかなかった。

そのガメラが平成の世に満を持して復活。監督は金子修介。その名を聞いただけで私はどんな映画が出来上がるのかとわくわくした。
平成に入って以降に製作されたゴジラシリーズにはいまひとつノリきれなかったが(金子修介監督の「G.M.K」だけは例外)、本作を含む平成ガメラ3部作はそのもやもやを吹き飛ばして余りある素晴らしい作品だった。怪獣映画を大真面目に撮ったらどうなるか? 真摯にそれを追求した結果、日本の怪獣映画はハリウッド製SFXにはないカタルシスを獲得した。大袈裟でなく、それくらい、平成ガメラは傑作といえた。

平成ガメラの特筆すべき点は、それまでの怪獣映画にはなかった人間の視点である。ここでいう視点とは物語のそれではなく、画面のフレームの切り取り方を指す。どれだけミニチュアを精巧に作ろうが、完璧なCGを作ろうが、ベースに日常感というリアリティがなかったら驚きは生まれない。普段、我々が地面に立って見ている景色。そのフレームの中にそのまま怪獣が入ってくる驚き。いつもの日常を突然現れた怪獣が破壊する。怪獣映画の醍醐味はそこに尽きるのだが、平成ガメラは徹底的にそれをやってくれた。破壊された東京タワーにギャオスが巣を作るシーンは美しく感動的ですらあった。

細やかな感性と手仕事の集大成でもある怪獣映画は、日本の文化そのもの。
CG全盛の現在だからこそ、人間の手仕事を感じさせる怪獣映画には価値がある。
聞けば、新たなコンセプトによるガメラの製作が決まったとか。
日々進化を続けるCG技術の導入もいい。だが、ジャパン・オリジナルともいえる怪獣映画の伝統もぜひとも忘れずに継承してほしい。ひそかに、そう思っている。

■ガメラ 大怪獣空中決戦
1995年/日本/大映株式会社製作/樋口真嗣特技監督/金子修介監督
日本アカデミー賞3部門受賞(最優秀助演女優・特別賞・特殊技術賞)
「映画芸術」1995年ベストワン
「キネマ旬報」1995年読者投票2位




Commented by pasin at 2006-03-08 12:10
>昭和ガメラ
私は当時マセガキだったのでガメラよりゴジラの方が好きでした。
チャンピオン祭りで見た「キングコング対ゴジラ」「モスラ対ゴジラ」といった初期作品のリバイバルに惹かれました。
昭和ガメラも対バルゴンは他と一線を画したストロングスタイルな作りでしたね。
>平成ガメラ
当時、私もゴジラシリーズに不満を抱いていたクチなので非常に衝撃を受けました。
なんで東宝にこれが出来ないんだ、と一層不満を募らせたものです。
そしてミレニアムシリーズになってようやく金子監督がゴジラに登板したわけですが・・・
Commented by pasin at 2006-03-08 12:22
(続き)結果出来てきたGMKは他の平成ゴジラと比べると素晴らしかったんですが、平成ガメラと比べると見劣りする感が。。。
結局、平成ガメラが素晴らしかったのは監督・脚本・特撮と3拍子とれていたからなんですね。
思い返すと3者のパワーバランスが崩れたガメラ3はイマイチでした。
もう一度ガメラのスタッフが集まって新しい怪獣映画を撮って欲しいと思うんですが、確執があるらしく難しいみたいですね。
まるでプロレス界のようだ(^^;
Commented by leicacontax at 2006-03-08 20:16
>平成ガメラと比べると見劣りする感が。。。
pasinさんに同感です。ただGMKにはゴジラ清水上陸やバラゴン登場(トンネル)など傑出したシーンが幾つかあって、それが捨て難いのです(DVDではそこばかり繰り返し観ています)。たしかに監督・脚本・特撮のバランスは平成ガメラには及びませんし、そもそもハム太郎の併映という扱いからして東宝の肝っ玉の小ささが現れていてなっちゃいません。
ガメラ3は冒頭の渋谷壊滅とラストの京都炎上シーンに鳥肌が立ちました。CGを前提にしたイリスという怪獣は好きになれないのですが、渋谷の空からギャオスが燃えながら落下してくるあのリアリティと、燃え盛る古都を往くガメラの高倉健ばりの哀愁は素晴らしかったです。
>まるでプロレス界のよう
そうですね。映画界も才能うんぬんより人間関係で動いていますから、なかなか難しいですね。平成ガメラはその意味では奇跡の映画だったのかもしれません(そう考えると寂しくなりますが)。
Commented by pasinpasin at 2006-03-09 11:17
>GMK
木村さんが挙げられているシーンは私も好きです。窓越しに見えるゴジラなんかまるでそこに居るかのようでした。
GMKは横浜でギドラが復活するあたりまでは素晴らしかったので、その後のグダグダ感が惜しいですね。あの辺が脚本の弱さでしょうか。
ガメラ3の渋谷壊滅は圧巻でしたね。
未だ邦画であれを超える怪獣映像は無いんじゃないでしょうか。
Commented by leicacontax at 2006-03-09 12:34
>GMKは横浜でギドラが復活するあたりまでは素晴らしかったので、その後のグダグダ感が惜しいですね。あの辺が脚本の弱さでしょうか。
おっしゃる通り。突然、平成ゴジラシリーズのパターンに逆戻りしちゃうんですよね(笑)。キングギドラが絡むとどうしてもあのパターンになってしまうんでしょうか? (キングギドラ2段変身って東宝のお気に入り?)あれはまるでカウント2・9プロレスですよね。
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by leicacontax | 2006-03-08 07:05 | 映画/TVドラマ | Comments(5)

現実は精巧に造られた夢である。〈長谷川りん二郎の言葉〉


by leicacontax