ドラゴン怒りの鉄拳
2006年 03月 07日

FIST OF FURY〜怒りの鉄拳。
20世紀初頭の中国で起きた反欧米列強およびキリスト教排斥を訴えた武術家たちによる叛乱「義和団事件」に想を得たナショナリズム爆発の映画である。
ブルース・リー主演第2作(日本公開は「燃えよドラゴン」「ドラゴン危機一発」につづく第3弾)で、作品自体は古くさくていい加減なかつての香港映画テイスト満載。敵役の日本人が着ている袴は前後ろ反対だし、日本人の宴会ではおぞましいゲイシャがストリップをやっているしで、勘弁してよの連続。
しかし、ブルース・リーなのである。1974年の日本公開当時、あまりにも日本が悪く描かれているために配給会社は及び腰だったというが、リーしか観ていない観客は、自分が日本人であることも忘れて師匠や仲間を殺されたリーと共に怒り、悪い日本の武術家がばったばったとなぎ倒されるさまに喝采。仇討ちと勧善懲悪とブルース・リーの三位一体攻撃のエネルギーの前に理屈は無力。日本人は頭を空っぽにして熱狂した。実質4本しかないリーの主演作(遺作「死亡遊戯」はアイコラのようなもの。主演作にはカウントしたくない)の中でも、この映画のリーの暴れっぷりは群を抜く。チープな作りや漫画のような演出が、かえってリーの凄さを際立たせているのだから面白い。
リー以外の見所といえば、共演のヒロイン、ノラ・ミャオの美しさくらいのものだが、実はこの映画、一つトリビアが隠されている。最後にリーと対決するスズキという悪のボスキャラ。橋本力という大映の俳優で、この人、あの「大魔神」の中に入っていた人なのである。
ブルース・リーは、怒りの化身「大魔神」より強かったのだ。
UPした画像は公開当時のパンフレット表紙。DVDのジャケットデザインがまるで駄目なので20年くらい前に新宿駅の古本市で手に入れたパンフレットを引っ張りだしてみた。
映画公開当時、私の地元にはロードショー館がなくてパンフレットが買えなかった。通っていた銭湯のおじさんに頼んでこのパンフレット表紙と同じデザインのポスターを譲ってもらい、自分の部屋に貼ったときは嬉しかった。子供の頃、銭湯には必ず映画のポスターが貼ってあって(座頭市とか東映やくざ映画。夏になると決まって怪談モノ。プロレスのポスターもよく貼ってあったっけ)、あの独特の色合いに今とは違うちょっと淫靡な映画の匂いを感じたものだった。
■ドラゴン怒りの鉄拳
1972年/香港/ゴールデン・ハーベスト製作/原題「精武門」/ロー・ウェイ監督

