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本来の姿。

中学以来の友達のおやじさんが亡くなったとの知らせを受け、お通夜に出席してきた。
聞けば、バブルが弾けて事業に失敗。結局、二度と立ち直れなかったらしい。
友達から「おやじとまともに話したことある友達はお前だけだ」と言われて、四半世紀以上前、そのおやじさんと一度だけ、酒を飲んだことをぼんやり思い出した。どんな話をしたのか、いや、どんな人だったのかも、正直、憶えていない。ただ、そのときに感じた厳しい気配だけが遺影を前にして微かに甦った。たとえ一期一会でも、自分の人生に関わった人の死は、重たい。

通夜から家に戻ると、TVでは亀田興毅選手の初防衛戦が山場を迎えていた。
7ラウンド。妻に状況を尋ねると、「圧倒的な展開。ランダエタ選手に何もさせていない」との答え。着替えを済ませ、気を落ち着かせて後半の試合を観戦。ジャブに以前のキレが戻っている。そして、別人のようなフットワーク。攻防のスイッチのタイミング。出入りのテンポと間合いが素晴らしい。
私は元々、亀田興毅選手のジャブの速さに注目していたので、ここ数戦のガードを固めてのガチガチのファイター・スタイルには疑問を抱いていた。やはり、この選手はジャブと足を使ったボクサー・スタイルでこそ真価を発揮する。「これまでのファイター・スタイルは、亀田興毅選手の本来の姿ではなく、あくまでも最短で世界に到達するための戦略でした」とアナウンサー。やはり、そうだったのかと納得。ふてぶてしいキャラクターを演じているが、時おり気弱と繊細さが透けて見える面差しといい、亀田興毅選手は性格もファイト・スタイルも、実は地道で基本に忠実な努力型に違いないのだ。
世に出るための戦略とはいえ、これまで、自分でない自分を演じるのは苦しかっただろう。しかし、王者として正々堂々の防衛を果たした以上、もう、〝自分〟を押し殺す必要はない。
本来の姿を見失って生きるのは辛い。
誰の人生でもない。自分の人生。亀田興毅選手には、これからは試合で自分のファイトを主張してほしい。リングでの闘いこそボクサーの生き様、正真正銘、真の姿なのだから。
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by leicacontax | 2006-12-21 03:01 | プロレス/格闘技/ボクシング | Comments(0)

現実は精巧に造られた夢である。〈長谷川りん二郎の言葉〉


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