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木を見て森を見ず。

WBC(世界ボクシング評議会)スーパーフライ級暫定王座決定戦『川嶋勝重(同級2位)vs.クリスチャン・ミハレス(同級4位)』をテレビ観戦。両者12ラウンド真っ向勝負。いい試合だった。
川嶋選手はダウンを奪いながらも2-1のスプリットデシジョンで敗れ、王座返り咲きはならなかったが、私の採点でも1ポイント差の負けと出ていたので結果には納得している。

亀田問題に対する回答として、今回の中継(テレビ東京)では解説席に座ったガッツ石松氏と現役王者の長谷川穂積選手がラウンド毎に採点を公開。試合後半には記者席の採点状況をレポートするなど、さまざまな見方を提示しながらの中継は好感が持てた。ただ、亀田問題の際にもきちんと説明がなされなかったラウンドマストシステム(ラウンド毎に必ず優劣をつけなければならない採点方法。引き分けを少なくするために採用されている)については、今回も言及がなかった。ダウンを奪っても2ポイントしか差がつかないという説明も不十分。今回はミハレス選手の手数とヒット数が圧倒的に勝っていたので視聴者もすんなり納得したかと思われるが、そこをきちんと説明しない限り、判定の基準そのものがいつまで経っても理解を得られないのではないかという心配は残った。

しかし、今回、つくづく思った。ジャッジでもないのに、こんな見方をしているのはなんだかつまらない、と。
私はボクシングの試合を観るときは、会場でもテレビでも、毎回、自分なりに採点しながら観戦するのが習慣にはなっている。それでも、時にはそんなことを忘れ、ただただ拳をぶつけあう男たちの姿に酔いしれてしまうことがある。あるいは、美しいテクニックに勝ち負けを超越した感動や興奮を覚えることも。本来なら、その点をのみ視聴者として観客として追求したいところで、試合内容にもよるが、ボクシングや格闘技はそうやって観た方がはるかに楽しめるし面白いに決まっている。事実、心に残る名勝負の記憶には勝者も敗者もない。逆に勝ち負けなど、時間が経過すれば忘れてしまうことの方が多い。
川嶋選手が2ラウンドにダウンを奪った右の強打の戦慄。最終ラウンドの声をふり絞りながら打ち続ける必死な姿。ダウンを奪われながらもそれをはねのけたミハレス選手の精神力と正確無比なテクニック。この試合も見所は少なくなかった。それなのに、私は終始、熱い闘いに興奮することもなく、淡々と細かな差を見つけては優劣をつけることに専心。まるで間違い探しだった。この一戦が記憶に残らなかったとしても、たぶんそれは彼らのせいではない。木を見て森を見ずとは、こういうことをいうのかもしれない。
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by leicacontax | 2006-09-18 23:54 | プロレス/格闘技/ボクシング | Comments(0)

現実は精巧に造られた夢である。〈長谷川りん二郎の言葉〉


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